皆様こんにちは🤓
本日もよろしくお願いします!
今回の内容は「アルケンの反応」です😄
薬剤師国家試験ではよく出る反応の1つです:-P
反応の勉強をするなら、優先順位高めの内容です!
ただ、近年はほとんどが“立体化学”と絡めて出題されており、難易度は上昇中です🤮
よって、アルケンで点数を取るためには、まず「立体化学」について学んでおく必要があります!
もし立体化学について勉強が進んでいない場合は、別の記事で立体化学について基本的なことはまとめているので、そちらから学習を始めましょう😄
立体化学を一通り学び終えた方は、この記事を続けてご覧ください~
では早速始めていきましょう:-P かなり長いので休憩はさみながらお願いします🤮
アルケンの勉強ポイント
まず初めに、薬剤師国家試験で出題されている代表的な過去問をお示しします。
第107回の問103です😚
これが近年の国家試験における、最も一般的なアルケンの反応に関する問題です:-P
問題を解く際に必要なポイント(勉強のポイント)としては以下の3点です😄
①代表的な反応試薬の特徴(アンチ付加、マルコフニコフ則など)を覚える
②生成物の構造が書ける
③生成物の立体化学の判断ができる
特に①が頭に入っていない状態で、アルケンの問題を解くことは不可能に近いです🤮頑張りましょう!
次に、各ポイントについて補足していきます:-P
①代表的な反応試薬の特徴(アンチ付加、マルコフニコフ則など)を覚える
これが頭に入っていないと問題を解くことはできません。一番重要です!
理想を言うと「反応機構」まで頭に入れたいです(国家試験でも機構に関する問題が出題されています・・・)。
ただ、それは余裕があればで良いので、最低限、代表的な試薬の特徴を暗記しておけば良いです。
例えば第107回問103を例にすると・・・
【選択肢1】Br2,H2Oなら・・・BrとOHがアンチ付加
【選択肢2】Br2なら・・・Br2つがアンチ付加
【選択肢3】1)OsO4 2)NaHSO3,H2Oなら・・・OH2つがシン付加
【選択肢4】HBrなら・・・マルコフニコフ則
【選択肢5】1)BH3,THF 2)OH-,H2O2,H2Oなら・・・OHとHがシン付加で、マルコフニコフ則に従わない
という感じです🤓
最初は「うわ~」と思うかもしれませんが、同じようなものしか出題されませんので、問題を解きながら身に付けていきましょう:-P
特定の試薬有無によって生成物が変わるもの(選択肢1と選択肢2でH2Oの有無で生成物違う)もあるため、気を付けてください🤮
②生成物の構造が書ける
アルケンの反応に関する問題の出題方法としては大きく2パターンあります。
1つは既に生成物が書かれていて、その生成物の正誤を問うもの(第101回の問101など)
2つ目は上で紹介した第107回の問題のように、生成物が書かれていないもの
です。
近年は2つ目のパターンが圧倒的に多いので、基本的には生成物の構造が自分で書ける状態になることが必須です🤮
ただこれは難しいことではなく、試薬の特徴さえわかっていれば問題なく対処できます☺
③生成物の立体化学の判断ができる
最後は生成物の立体化学の判断です🤔
生成物の立体化学を判断する際に大事なことを先にお伝えしておきます(難しいところなので、後で問題を使って練習します)。アルケンは2重結合を持った平面構造なので、反応は平面の上側と下側(表と裏)の2通りあるため、基本的に2種類の生成物が考えられる😐ということを頭に入れておいてください🤓
それではここから、アルケンの範囲で最も重要な「試薬の特徴」について確認します!
試薬の特徴一覧
有機反応は反応機構を書けることが理想です:-P
ただ、アルケンの反応は色々あるため、反応機構も様々で、それを書くだけで覚えることが増えます🤮ですから、最初から試薬の特徴を覚える姿勢のほうが私は良いと思っています🤔
最終的に頭に入れたい薬剤師国家試験でよく出題される反応の試薬はこれだけです🤓
反応試薬 | 特徴 |
Br2 | Br2つがアンチ付加 水中反応ではBrとOHがアンチ付加 |
1)OsO4 2)NaHSO3,H2O | OH2つがシン付加 |
1)BH3,THF 2)-OH,H2O2,H2O | 1)でHとBH2がシン付加 2)で過酸化水素により酸化されて最終的にHとOHがシン付加 (結果としてマルコフニコフ則に従わない) |
mCPBA | エポキシ化(シン付加) エポキシ化後に水を反応させると、OH2つがアンチ付加した生成物になる |
H2,PtO2 | H2つがシン付加 (白金以外の金属触媒を使う場合もある) |
H2O,H2SO4 | マルコフニコフ則 |
HBrまたはHCl | マルコフニコフ則 |
mCPBA(メタクロロ過安息香酸)の構造は↓
何度も同じような反応が出題されているため、繰り返し過去問を解いてこの一覧の内容を頭に叩き込みましょう!この一覧は、絶対に忘れてはいけない内容です🤮
アンチ付加、シン付加とは?
ここでアンチ付加、シン付加の構造的な特徴を簡単に示しておきます🤓生成物の構造を書く際に必要です。
アンチ付加:反対側から付加する
シン付加:同じ側から付加する
という意味からわかるように、生成物に新しくできた結合の向きのことです。
例えば上図のアンチ付加であれば、X-Yという試薬がアンチ反応した場合、XとYは実線(-)が逆向きになった位置、又はくさびと破線の位置に結合した状態となります。
もとのアルケンに結合していたABCDについては、元のアルケンに結合していた位置関係のまま生成物になるため、AとCは生成物でも同じ側に結合し、BとDも元のアルケンと同じように、生成物でも同じ側に結合しています。
次にシン付加であれば、XとYが同じ側に結合するため、実践が同じ向きになった位置、又はくさび同士(破線同士でもOK)の位置にXとYが結合した状態になります。
ABCDの入れ方はアンチ付加と同様です。
マルコフニコフ則とは?
マルコフニコフ則とは「安定なカルボカチオン中間体を経由する反応が優先する」というアルケンの反応におけるルールです。
理解するには反応機構が必要なので書きますが、最低限以下の結論だけ覚えていても良いです。
「水素が多く結合した炭素に水素が結合する」
では説明します🤓
まず、代表的なマルコフニコフ則に従う試薬であるHBrのH+がアルケンの二重結合と反応し、カルボカチオン中間体が生成します。
その時、H+が反応する箇所により、複数のカルボカチオン中間体が生成する場合、より安定なカルボカチオンが生成する経路で反応が進行します。
上の例では、2級カルボカチオンが生成する経路です。
またこの時、結果としてHBrの水素(赤色水素)は、元のアルケンで水素が多く結合している炭素側に結合しています。
結果だけ確認でも大丈夫です😄
さらにこの反応でカルボカチオン中間体にBr-が反応する際、注意事項があります。
カルボカチオン中間体は平面構造のため、Br-の反応経路は平面の上側と下側の2通り存在します。
今回の例では、生成物に不斉中心が1ケ所あり、それぞれR体とS体です。
よって、生成物はR体とS体の2種類が等量混合した「ラセミ体」です🤓
なお、等量になる理由は、一般的に平面の上側と下側で反応の進みやすさに違いがないためです。
マルコフニコフ則の場合、生成物に不斉中心ができる場合は立体に注意しましょう🤔
それではここから、各試薬の反応について見ていきます🤓
繰り返しになりますが、結果だけ覚えていても良いです😚
可能な限り理由や反応機構まで頭に入れておけば、解ける問題が増えます(一部の国家試験で反応機構詳細を問われるため)。
Br2
アンチ付加です!
臭素の反応はこんな感じです。
アンチ付加になる理由は、最初に反応したBrが邪魔で、次に反応するBr-はそれを避けるように反対側から反応するためです🤓
また、この反応を水中で行った場合、2段階目のBr-の代わりに、多量に存在する水(H2O)が反応します。
「Br2,H2O」と記載あれば、水中での反応です🤓
OsO4
シン付加です。
ほぼ全ての国家試験問題で
1)OsO4 2)NaHSO3,H2O
と記載されています。
反応としてはこんな感じ🤓
OsO4がアルケンにベタっとくっついて、その後の処理によりOH2つがシン付加した生成物になります🤓
BH3
ヒドロホウ素化とそれに続く酸化反応により、アルコールを得る反応です。
試薬の書き方としては色々あります。
1)BH3,THF 2)-OH,H2O2,H2O
だったり、THFが抜けていたり、-OHがNaOHになっていたり・・・
でも、全て同じです🤓気にしない🤓
特に立体を絡めて出題されることが多い反応なので、反応のメカニズムを理解しておくと良いです☺
平面のBH3は、同じく平面のアルケンに対してシン付加(ヒドロホウ素化:実際には多段階で反応が進むが、国家試験では不要と考えるため省略)し、最終的に過酸化水素による酸化反応でアルコールが生成します。平面同士の反応なので、シン付加になるのはイメージできると思います☺
また、アルケンに置換基が結合している場合、BH3が反応する際に立体障害を避けるため、上の例であればメチル基が結合している炭素の反対側の炭素にBH2が結合します🤓
最終的にアルコールが生成しますが、結果論としてマルコフニコフ則に従っていないアルコールが生成します。
mCPBA
メタクロロ過安息香酸によるエポキシ化(シン付加)です🤓
反応機構はとても複雑なので不要ですが、どの酸素が反応しているかだけ覚えておきましょう😐また、エポキシ化後の反応も併せて見ておくと良いです🤓
メタクロロ過安息香酸は、カルボン酸より“過剰”に酸素がある化合物です:-P
よって、その過剰な酸素が反応に関与すると覚えておきましょう🤓
エポキシ化はシン付加です(三角形になるので、アンチ付加はありえませんが・・・)。
この後、エポキシドの開環反応が続く場合は、Br2の反応と同じように考えましょう😄
上の例では酸条件での水を反応させていますが、エポキシドの酸素を避けるように反対側から水が反応するため、結果としてOH2つがアンチ付加した生成物になります🤓
H2
シン付加です。
金属触媒を用いた水素化です🤓
ほとんど試験に出ていませんので、簡単にイメージだけつかんでおいてください:-P
金属の板に水素が突き刺さっていて、それがアルケンにくっつくイメージです😄
H2O、HBr or HCl
酸触媒下の水や、HBr、HClはマルコフニコフ則に従った反応です🤓
大事な点は、マルコフニコフ則の説明でお伝え済ですので、ここでは割愛します:-P
特に水の付加でアルコールを生成する反応は、ヒドロホウ素化との対比で出題されているので、生成物の違いに注意しましょう😄
以上が代表的な試薬についての説明です😄
色々書きましたが、最初に説明したように、特徴は暗記する前提で勉強を進めたほうが良いです😐そのための理由付けに上記説明をご活用ください!
では最後に問題を使って復習しましょう😄
問題の解き方
勉強のポイントでお伝えした3点
①代表的な反応試薬の特徴(アンチ付加、マルコウニコフ則など)を覚える
②生成物の構造が書ける
③生成物の立体化学の判断ができる
こちらの②③について問題を使って説明していきます🤓
近年の国家試験で出題頻度が高い「生成物の構造が書かれていない」問題を使いますね!
第107回 問103
まずは冒頭で示した第107回の問103いってみましょう☺
既に説明で使用した反応もありますが、改めて問題の解き方をお伝えします🤓
まず、生成物の構造がありません。また、立体を聞かれています(今回はメソ体)😐
こういった問題が出題された場合、まずは試薬の特徴を使って生成物を1つ書いて、立体を確認してみます🤓
選択肢1
試薬の特徴から、生成物を1つ書いてみました。
アンチ付加なので、くさびと破線にOHとBrを書いてます。
すると、立体配置が(S,S)の化合物でした🤓この時点でメソ体ではないですよね🤔
選択肢1は「誤」です。
さらにこの場合、このような生成物も書けますよね🤓
くさびと破線を入れ替えたものです☺(くさびと破線を入れ替えると、RSは逆になります)
よって、選択肢1の生成物はラセミ体となります。
このように、生成物の立体は複数出てくる場合が多いです☺理由は勉強ポイント③でもお伝えしたように、アルケンは平面で表裏があるためです🤓
※問題集の答えに書いてある構造と書き方が違う場合が出てくると思います。それは気にしなくて大丈夫です😄立体(RとかS)が同じであれば、表し方が違うだけで正しい構造を書けていると思います!
選択肢2
同じように生成物を1つ書いてみます🤓
アンチ付加なので、くさびと破線にBrを書いてます。書き方は色々ですよ!
書いた構造を確認すると「メソ体」の特徴を示す構造です🤓
よって選択肢2は「正」です。
メソ体は別記事確認してください🤓
とにかく生成物を1つ書いてみることです😄
選択肢3
これも生成物を1つ書いてみます🤓
シン付加なので、同じ方向の実線にOHを書いてみました!
立体(S,S)の化合物が書けました😐ということはメソ体ではありません。
選択肢3は「誤」です。
選択肢1と同じように、(S,S)があるなら(R,R)も生成します(構造は省略)。
よってラセミ体になっています🤓
選択肢4
こちらはマルコフニコフ則に従う反応です🤓
マルコフニコフ則の説明で使用した反応と同じです。
実際に問題を解く際は、R体S体両方書く必要はないです。例えばR体を書いたとしたら「じゃあS体も生成するな」でOKです。
生成物はラセミ体になるので、選択肢4は「誤」です。
マルコフニコフ則に従う反応の場合、シン付加やアンチ付加はありませんが、カルボカチオン中間体を経由することから、生成物が2種類生成する可能性があります。
生成物に不斉中心がある場合は気を付けましょう!
選択肢5
やることは同じです:-P
シン付加なので、破線にHとOHを結合させた構造を書いてみました。
すると立体(R,R)だったので、メソ体ではありません!
選択肢5は「誤」です。
選択肢1、3と同様に、(R,R)があるなら(S,S)もあるはずなので、ラセミ体になっているはずです。
いかがでしょうか😐
最初はけっこう難しいと思います🤮生成物の構造を書くことが重要ですが、その際に最初から全ての構造を書く必要はないです。まずは1つ生成物の構造を書いて、RS配置を確認してみると良いでしょう😄
第102回 問101
続いてこちらです🤓同じような問題です:-P
選択肢1
生成物を書いてみます🤓
HとOHがシン付加なので、破線同士に書いてみました😄立体障害が少ない側に、BH2が反応(最終的にOHになる)するんでした!
生成物はR体です。よってS体も生成するはずですね🤓
一応確認しておきます。
くさび同士に書いてみると、S体いました🤓ラセミ体です。
選択肢1は「正」です。
選択肢2
エポキシ化ですね🤓
生成物はメソ体です!
選択肢2は「誤」です。
選択肢3
これはどうでしょうか😐
アンチ付加なので、くさびと破線にBrを書いてみました:-P
すると、メソ体の特徴を表す構造です🤓
よって選択肢3は「誤」です。
選択肢4
次はマルコフニコフ則です🤓 第107回の選択肢4との違いに気を付けましょう!
なんと生成物に不斉中心がないアキラルな化合物です😐
生成物に不斉中心が無い場合は、カルボカチオン中間体を考えて2通りの反応経路で・・・という必要はありません🤓
選択肢4は「誤」です。
選択肢5
もう飽きてきたかもしれませんが😐
シン付加なので、くさび同士に書いてみました🤓
メソ体ですね!
選択肢5は「誤」です。
いけたでしょうか😐慣れるまで難しいと思いますが、とにかく自分で構造を書いてみることが第一歩です!
まとめ
お疲れさまでした🤓
かなりボリュームがありますね🤮しかも立体化学を学んだ前提なのでさらに大変だと思います!
アルケンは少し前に比べて、問題の難易度が格段に上がっています。
ただ、国家試験の最重要範囲である「立体化学」の知識と、アルケンの勉強ポイントを駆使すれば、点数が取れる可能性は高い範囲です😄
ぜひ今回触れなかった過去問にチャレンジしていただき、さらなるレベルアップを目指してください🤓
皆様ならいけるはずです😚
お疲れさまでした~
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