【医薬品のお話】β-ラクタマーゼ阻害薬の構造

化学編

皆様いつもブログをご覧いただきありがとうございます:-P

本日は薬剤師国家試験でもよく出題されているβ-ラクタム系抗菌薬に関する内容で進めます☺

といっても、β-ラクタム系抗菌薬の作用機序については色々な教科書にも詳しく書いていますので、今回は縁の下の力持ちとして活躍している“β-ラクタマーゼ阻害薬”を取り上げます。

「そんな感じなんや~」くらいの雰囲気を分かってただければ幸いでございます。
詳しい反応機構などは、詳細に述べられている書籍や他のブログにお任せします。

β-ラクタマーゼってなんやっけ?

β-ラクタマーゼというのは、β-ラクタム系抗菌薬の「β-ラクタム環」の加水分解反応を触媒する酵素です。β-ラクタム系抗菌薬がこれで攻撃されると、活性を失います。

β-ラクタム系抗菌薬の作用機序は、細菌が細胞壁合成をする際に“間違って”β-ラクタム系抗菌薬を取り込むことで、合成を止めて細菌を倒すというものでした。

そこで細菌は自分を守るために、「β-ラクタマーゼ」という酵素を作り出し、β-ラクタム系抗菌薬を破壊し始めたんでしたね!

まぁ・・・こんなイメージです笑

β-ラクタマーゼというデスボール(ドラゴンボールのフリーザの技。知らない人はググってね)をぶっ放し始めたということです。

このβ-ラクタマーゼ産生菌を倒すために人間は色々な方法を考えましたが、その方法の1つに冒頭で述べた「β-ラクタマーゼ阻害薬の併用」があります。

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β-ラクタマーゼ阻害薬の特徴は?

β-ラクタマーゼを阻害する作用をもち、初めて臨床使用されたものが「クラブラン酸」です。他にも合成されたβ-ラクタマーゼ阻害薬がいくつかあります。

簡単に言うと、β-ラクタマーゼ阻害薬はβ-ラクタム系抗菌薬の「身代わり」です。β-ラクタム系抗菌薬の代わりに、β-ラクタマーゼで破壊される役割を担っています。イイやつなんです。

β-ラクタマーゼ阻害薬もβ-ラクタム環を持っています。しかも構造を見ると、β-ラクタム環の周りがガラ空きなのがおわかりでしょうか。クラブラン酸カリウムの構造を示します。

これはもうβ-ラクタマーゼに攻撃されるためだけに生まれてきたようなものですよね。

でもそれで良いんです。

β-ラクタマーゼ阻害薬が破壊されている隙に、β-ラクタム系抗菌薬が細菌を抹殺していくので。

ちなみにβ-ラクタム系抗菌薬は、β-ラクタム環の周りに置換基をつけて、攻撃されにくくしているものが多くありますよ。

まとめ

何でしょうね。

β-ラクタム系抗菌薬が悪役に思えてきてしまうのは私だけではないはずです。

とにかく

β-ラクタマーゼ阻害薬はイイやつすぎた

というお話でした。

ではまた☺

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