いつもブログをご覧いただきありがとうございます:-P
皆様は「腸溶錠」って聞いたことあるでしょうか。
もちろん薬学部生や薬剤師の方はご存じだと思います。
字の通り「(胃で溶けずに)腸で溶けて効く」ってやつです。
私が腸溶錠について初めて勉強した時
「化学の理論そのままやな~」
と思った記憶があります。
本日は腸溶錠を“化学”の視点から見ていきます☺
言葉だけで覚えていたという方は、ぜひ構造に注目してみてください!
腸溶錠のコーティング
腸溶錠は、医薬品の主成分を腸で溶けるようにコーティングしたものです。
こんなイメージですね。
今日は腸溶錠コーティングの例として「ヒプロメロースフタル酸エステル」を使って説明します:-P
「ヒプロメロースフタル酸エステル」を日本薬局方で調べるとこんな風に書いてありました。
「本品はヒプロメロースのモノフタル酸エステルである。本品はメトキシ基(-OCH3:31.03),ヒドロキシプロポキシ基(-OCH2CHOHCH3:75.09)及びカルボキシベンゾイル基(-COC6H4COOH:149.12)を含む。」
詳細な構造は省略しますが、ポイントはここです。
カルボキシベンゾイル基(-COC6H4COOH)
ちゃんと構造書くとこんな感じです↓
カルボキシ基を持っているんですね。
これがなぜポイントなのかを次に見ていきましょう:-P
胃で溶けずに腸で溶ける理由
では、例で示したヒプロメロースフタル酸エステルでコーティングされた薬が、なぜ胃で溶けず腸で溶けるのかを図を使って一緒に確認してみましょう:-P
腸溶錠コーティングはこんなイメージです。実際にはもっとたくさんの構造がありますが、説明しやすいように1つだけ書いておきます。
これを経口投与した場合を考えてみましょう。
胃に到達した薬は強酸性(プロトンがいっぱい)の胃酸の中に放り込まれます。
カルボキシ基構造は、酸性では特に変化なく、コーティングに大きな影響はなさそうです。
胃を通過した薬は腸に到達します。
腸ではpHが上昇するため、胃の中よりカルボキシ基のプロトンが外れやすくなります。
すると、カルボキシレート構造(-COO-)になって水溶性が向上し、ドロッとコーティングが剥がれ落ちます。
こんなイメージです。
実際にはもう少し色々な反応も起こっていると思いますが、「なぜ胃で溶けずに腸で溶けるか」の最大のポイントはこのカルボキシ基の変化(分子型→イオン型)です。
ちなみに薬剤師国家試験(102回の問205)でこんな出題ありました。いけますよね。
解答は「3」です😚
まとめ
お疲れ様でした:-P
いかがだったでしょうか?
基本的な化学の説明は省略しているため難しい部分もあったかもしれませんが( ;∀;)
カタカナの名前だけだと「なぜ腸溶錠になるのか」が理解しにくいですが、構造を書いてみると“化学的”に理解できます。
このような“化学的に理解できる医薬品ネタ”も少しずつ記事にしていきますのでお楽しみに(?)
それではまた:-P
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